ほっと一息

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2021.07.26

考えよう 家族に優しいバリアフリー 引き戸の良さを見直そう

JA広報通信7月号

一級建築士●Yuu

 

 昔の日本の家は、出入り口の戸といえば引き戸でした。その後、生活の洋風化によって開き戸の家が増えましたが、最近再び引き戸の良さが見直されています。

 引き戸の一番の長所は、開き戸に比べて出入りが楽なことです。開き戸を開け閉めするときのことを想像してください。まずは手前に開くとき。開き戸の前に立ち、ドアのハンドルを回して手前に引きます。同時に最初の立ち位置から一歩下がって、体を45度ほどひねる必要があります。向こう側に押して開けるときも同じです。開き戸は、開閉時の体の移動が大きいのです。

 それに比べて引き戸は戸の前で同じ立ち位置のまま、すっと手を伸ばして左右に動かすだけです。体の移動もひねりも不要です。車いすでもスムーズに移動できます。また、開け放っていても風にあおられて閉まることがないので安全です。戸の開閉に必要な面積が少ないので家具を置きやすいというメリットもあります。また引き戸でつながった部屋は、開ければ広々、閉めれば個室と、開閉によってさまざまな部屋の使い方ができるのも魅力です。

 

 

 引き戸は収納でも活躍します。例えばキッチンの観音扉の食器棚は、扉を開け放したままにして炊事をしていると、体をぶつけてしまうことがあります。しかし引き戸なら、狭いキッチンでも収納の戸を開け放ったまま行ったり来たりしても大丈夫。地震のときも、扉が開いて中の物が飛び出してくる心配がないので安心です。

 引き戸を取り入れる際の注意点は、敷居の段差を作らないこと。つまずきのもとになります。また2枚の戸が重なったときに、引き出しにくいと指を挟んでしまうこともありますので、大きな取っ手を付けておくといいでしょう。引き戸を上手に使って、いつまでも安心して便利に暮らせる家にしましょう。

 

 

Yuu(本名:尾間 紫)一級建築士事務所Office Yuu代表。一級建築士、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネージャー。

「家は生活を変える、人生を変える」を信条に、新しい暮らしをつくる「リライフのためのリフォーム」を提唱。テレビやラジオ、新聞連載などを通してリフォーム情報を発信、住まいづくりのスペシャリストとして各方面で活動中。