ほっと一息

ほっと一息

2021.02.22

里山を歩けば  別れの季節

JA広報通信2021年2月号

●日本生態系協会

 

 

 冬になるとさまざまな渡り鳥がやって来ます。鳥の生態を知らないと「なぜこんな寒い時期にやって来るのだろう」と思いますが、鳥たちはもっと寒さが厳しいシベリアや中国大陸から寒さが穏やかな日本へとやって来るのです。皆さんが川や池で目にするカモやハクチョウの他に、ジョウビタキ、アトリ、カシラダカといった小鳥たちも冬越しに渡ってきます。無事冬を越した鳥たちは春になると北の繁殖地に戻って子育てをします。

 

 ツグミもそうした冬鳥の代表です。歌や人にも使われる名前なので、よく知られているのではないでしょうか。日本に着くと群れではなく、それぞれに田畑や平地の雑木林に散らばって生息します。渡ってきたばかりの頃は木の実を食べていることが多いのですが、次第に地面に下りるようになり、枯れ葉の下にいるミミズや昆虫などを食べます。枯れ葉に紛れそうな茶色に黒のまだらの羽をしたツグミは、枯れ草の上をちょこちょこっと歩いては胸をピンと反らせて立ちます。冬の間は「ククッ、ククッ」などと鳴きます。

 

 ところで鳥には「さえずり」と「地鳴き」という異なる鳴き方があります。地鳴きは雄雌共に一年中使われて、短く単純な声といわれています。一方、さえずりは繁殖期に雄が雌を求めるため、あるいは縄張りを宣言するためのもので、長く複雑な声が多いといわれています。日本では繁殖することがない冬鳥ですが、春になり、北帰行が近くなるとさえずりを聞けることがあります。冬の間は草の陰や林の中にいた鳥たちもこずえに止まり、朗らかにさえずります。その姿は待ち望んだ春の訪れをたたえるかのようです。

 

 冬鳥たちが生まれ故郷に帰り、ひなを育て、秋には再びやって来るように、里山を残しておきたいものです。冬鳥との別れを惜しむ間もなく、ツバメやキビタキがやって来るのも、もうすぐです。